「温泉旅館に泊まれる」——その選択を高齢者に取り戻すサービス
雅ケア-yumamoriは、滋賀県野洲市を拠点とするシニア専門の入浴見守りサービスだ。おごと温泉など滋賀県内の温泉旅館・露天風呂付き客室に介護福祉士有資格のスタッフが直接訪問し、高齢者の入浴を安全に見守る。介護保険サービスとは異なり、身体介護を主とせず「入浴時の安全配慮と見守り」に特化した内容で、医療行為も含まない。
「施設では味わえない、制約のない時間が好評です」という声が背景にある。起きたい時間に起き、入りたい時に湯に入るという当たり前の自由を守るのがこのサービスの根幹で、旅館での滞在をよりのびやかなものにする発想から設計されている。代表・藤原雅氏は長年の介護現場経験から、「温泉を諦める人を減らしたい」という明確な動機でこのサービスを立ち上げた。
余暇時間を含む3コース——滞在に合わせた時間設計
コースはベーシック(16,500円・入浴60分)、プレミアム(24,200円・入浴60分+余暇30分)、ロイヤル(35,000円・入浴60分+余暇60分)の3種類で、いずれも前後に健康観察・環境整備の30分が加わる。入浴後にゆっくり過ごす時間まで組み込んだコース設計は、温泉滞在を「入るだけ」で終わらせない意図が見える。料金とは別に交通費と施設利用料が必要で、オンライン決済または銀行振込による事前払いとなっている。
予約は温泉施設の手配後にオンラインで行い、施設名・利用日時・部屋番号などをアンケートに入力する流れだ。手続きのステップが明確で、旅行中に余計な段取りが増えない設計になっている。振込の場合は申込から48時間以内の入金期限があり、超過すると自動キャンセルになるため注意が必要だ。
認知症対応、日帰り可、1名から——想定する利用者の幅広さ
排泄コントロールと意思疎通が可能であれば認知症のある方も利用できる。日帰り入浴にも対応しており、宿泊を伴わないケースでも使いやすい。1名からの利用を受け付けているため、家族が同行できない場合でも単独での申し込みが可能だ。継続チケットを活用することで、旅行に限らず地域の温泉を定期的に楽しむ手段としても機能する。
介護施設からの法人依頼にも対応しており、外出行事として温泉を取り入れる施設の相談も受け付けている。対応エリアは現在滋賀県限定で、大津・草津・長浜など幅広い地域をカバーしているが、季節によって対応できないエリアもある。送迎は行っておらず、施設の手配は利用者自身が行うことが前提だ。
スタッフの姿勢——先回りしない見守りが、本人の時間を守る
雅ケア-yumamoriのスタッフは、介護福祉士の資格と実務経験に加えて、接遇研修と雅独自のプログラムを修了した上で現場に立つ。マニュアル対応ではなく、目の前の人の状態・ペース・意思に合わせて動くことを求められる職場だ。「先回りして助けない」という方針は、ご本人が自分らしく動ける感覚を守るためのものであり、それが結果として「自分で入れた」という達成感につながっている。
基本は1名のスペシャリストが担当するが、安全上の判断によって2名体制に移行することもある。営業時間は10:00〜16:00、定休日は月〜木曜日。旅行需要が集中する週末を中心に稼働する体制で、結婚記念日や誕生日など節目のタイミングに合わせた予約も多く寄せられているという。


